fumimaro40’s diary

fumimaroはふつうの事務員。感じたままを。

運転免許証返納

母は84歳。12月に丁度運転免許証の書き替え時期を迎えた。

高齢者が引き起こす自動車の事故ニュースをテレビで頻繁に観た母は、急に怖くなったようだ。

あの時やめておけばよかった、そうならない様にと決心したのである。

偉いなと思った。自分に置き換えたら、そのタイミングは非常に難しく、準備に時間がかかるに違いない。

先ずは、クルマの処分だ。廃車にするには登録抹消などの手数料が掛かる。

決心した不便にお金を払うなんて、と母の気持ちを勝手に慮り、クルマは売ることにした。

10年落ちの軽自動車にも一応値がつき、私にはふぅーんという金額だったが、母は「そんなものよ」と笑っていた。

手続きを終え、警察へ。些か緊張したが、総務で用件を伝えると、警察官とは思えない笑顔で対応してくれた。

酷い偏見である。警察官は皆大きく、いつもピリピリし、鋭い目つきだと思い込んでいた。

中肉中背の穏和な眼鏡をかけ言葉も丁寧な彼に、母も少しは安心した様子だったので、私も警察署内を観察する余裕も持てた。

テレビのように慌ただしい様子もなく、普段自分のいる事務室みたいだと思った。

ほんと、思い込みはいけない。

母は免許証のように身分証明にもなる、運転経歴証明書を発行してもらうことにした。

簡単な書類に記入し、顔写真を撮る。更新の時とあまり変わらない。講習は受けなかったが。かくして運転免許証返納完了。証明書は自宅に送ってもらうことにした。

警察署に到着してから30分程で全てが完了した。約30年間の運転人生をそれで終えた。

少しは寂しいわ、と言いつつ一年以上前から決めていた事を成し遂げた彼女は、実に清々しい様子だった。

 

母を尊敬する。